*ウィークエンドミステリー&シネマ*
私たちが週末に楽しんだ1冊・1本。
古い物も交えながら、必ずしもアタリばかりとは限りませんが、感想文を紹介します。


「ドミノ」恩田 陸
恩田陸ブームが2年前から続いています。電車の中で読みながら、笑いをこらえるのに必死になった小説はこれが初めてでした。
一見繋がっていないような人たちの都合が、時が経つにつれ見事に繋がっていきます。そしていつの間にか舞台は東京駅に。最初から居た人もいれば、遠くから来た人も。ただ騒ぎに巻き込まれた人もいれば、騒ぎを大きくするだけの人も。そんな彼らが気付けば全員と係わり合います。その様はまさにドミノ倒しの如くです。

「模倣犯」 宮部みゆき
ワンダフル!この人の筆力はスゴイの一言です。
まず犯罪小説として一級です。切断された腕が発見されるところから事件は始まり、やがて犯人はマスコミを利用して社会全体を振り回していきます。犯人は途中で明らかにされ犯人探しにはなっていないのですが、その悪事が綻びを見せるプロセスが全て必然的に感じられます。加えて、この事件の周辺にいる幾人かの生き様を丁寧に描くことで、犯罪被害者及びその家族の救済や、犯罪報道など今日的な問題を提起しています。バラバラに始まった物語が、やがて一つに紡がれていくのは見事です。

難を言えば、終盤は書き急いだ印象を持ちました。特に「ピース」がなぜ異常人格になってしまったのか、については納得のいく理由が説明されておらず消化不良です。幼少期の母親とのやり取りなどを書き込んで欲しかったな。複雑な境遇を示されただけでは物足りない気がしました。
ともかく文庫化を待ち焦がれただけの内容でした。5巻!とは大量ですが一気読みでした。なんで二ヶ月に分けて出すのかなー、それだけが不満でした。

「シンデララマン」 ラッセル・クロウ主演
ジム(復活するボクサー)とジョー(マネージャー)の男の友情に胸を打たれました。ジムを励まし一心同体で戦うジョーを演じるポール・ジアマッティは得な役どころです。
試合のシーンは迫力がありすぎて、観てるこちらの顔や頭が痛くなる感じ。かなりリアルですが、好きでない人には長過ぎるかも・・・
それにしても1929年の大恐慌があんなに悲惨だったとは。平成の大不況なんて目じゃないようです。

「カサブランカ」 ハンフリー・ボガード主演
大人なら誰でも知ってる映画ですよね。
久しぶりに観て、イングリッド・バーグマンってこんなに可愛くて綺麗だったっけ?と感動すら覚えました。
戦時下の暗澹たるムードが満点ながらも、何故か希望に満ちたエンディング、というのが好いですね。ボギー扮するリックとフランス人の警察署長の、身を挺しての男の決断にも心を打たれます。
アメリカを自由世界と持ち上げ過ぎている点が玉にキズ?

「女王の百年密室」森 博嗣
「すべてがFになる」のシリーズが有名な作者ですが、そちらではない作品を選びました。
近未来の話で、ミステリィと銘打ってありますが、読み始めるとよく分からなくなりました。
小道具がカタカナで、専門用語をよく知っている人には何の道具か直ぐに見当がつくのでしょうが、分からない者にとっては理解するまでに少し時間がかかります。また登場する場所はその小道具の雰囲気からは離れた不思議な空間で、読みながらSFかファンタジーなのでは、といった印象を受けました。
しかし最後はミステリィで締めくくられた、変わった作品だったと思います。
これに続編は出ないだろう、と思っていたら、先日しっかり続編が出ました。またこの不思議な世界を味わうことでしょう。

「大誘拐」岡本喜八監督
先日亡くなられた岡本喜八監督を偲んでご紹介いたします。
岡本監督が脚本・監督ともに務めた、14年前の作品です。
映画館へ行くまでこの作品を観るつもりではなく偶然観たのですが、何の前評判も知らずにいたせいか、映画の面白さがスクリーンから溢れんばかりに伝わってきました。主演の北林谷栄さんの演じる可愛く頭のいい、山林王のおばあちゃんがとても素敵で、思わず見入ってしまいました。
その後何度かTV放映されていますが、話が全体的にテンポよく進むため、観る度に面白いと感じてしまう魅力がある映画です。

「シンプルプラン」 スコット・スミス
10年くらい前の本です。
タイトル通り、とっても単純な計画−秘密を守ってほとぼりが冷めるのを待つ−で、大金を手にするはずだったのに、人間の欲がその計画の綻びとなって、計画外の罪を重ねてしまい、人生が破綻していく様をとてもリアルに書いています。
謎解きというより心理小説です。普通の人が、シンプルプランを胸に抱いたが故に、不安に苛まれ不幸に落ちて行くのは、あり得なくもなさそうで、とっても怖いです。

「甘い人生」 イ・ビョンホン主演
キラースマイルは、最後の最後にしか観られません。それまでは、暴力と血の海の連続で、どこが「甘い人生」やねん!と突っ込みたくなります。男のプライドを賭けてたった一人で組織に立ち向かうビョンホンの強さが、決して嘘っぱちに見えなかったということは、笑顔はなくとも彼の魅力を十二分に引き出しているのかもしれません。
「美しき日々」で室長の妹役だった女優が、この映画では言わば魔性の女。でも、人生狂わせるほどの価値があるとは思えなかったけど。

「Shall we Dance?」 リチャード・ギア主演
日本版と95%同じです。展開はわかっちゃいるのですが、なかなか笑わせてくれて、後味爽快でした。
リチャード・ギアってこんなに可愛い笑顔だったっけ?これまでは華やかさに欠けるルックスだと決め付けていましたが、黄昏を迎えた気の優しい中年にはぴったりだったのか、とてもチャーミングでした。心を閉ざしたダンサーのジェニファー・ロペスも、奥さん役のスーザン・サランドンも、女性の目から見て魅力的。
心身共に楽しめることを持てるって、とても健康的なことですね。何かを始めたくなりました。

「道をひらく」松下幸之助
ミステリーでは全くありません。しかし素晴しい一冊です。
小さい頃、父が母に「コウノスケさん」がこうした、ああ言った、などと話しているのを聞き、「コウノスケさん」という親戚か知人がいるのだと思っていました。それが父親の勤める会社の創業者の松下幸之助であり、父とは口もきいてもらえない程の人物だと知ったのは小学生になってからでした。
父がもっとも尊敬していた人物が松下幸之助翁です。家庭での会話に出てくるほどなので、余程尊敬していたのでしょう。
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